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何故、やりたいことを事業にする人には地獄が待ち受けているのか

「それは君が本当にやりたいことをなの?」

あなたが何か新しい仕事を始めようとすると、どこからともなくこう言ってくる人が現れます。そして、どういうわけか彼らは決まって上から目線で言ってきます。

副業であれ、転職であれ、フリーランスであれ、あなたが、次にやる仕事について思案していると、周囲の人は、まるで申し合わせたように言います。

確かに、やりたいことをやっている人は、きらびやかに映りますし、メディアでもよく登場します。「小川を超えて、木立を抜けて~」といった朗らかで牧歌的な鼻歌が聞こえてきそうなものです。

「自分を信じてやりたいことをやれば、見てくれる人が必ずいる。おのずとファンがつき事業が拡大していく。」と彼らは言います。やりたいことを仕事にするのは、まるで全人類に課せられた義務のような物言いです。

 

はたして本当にそうなのでしょうか?

 

結論から言うと、やりたいことを起点に事業を始めることには大きな落とし穴があります。

あなたが副業やフリーランスの仕事を選ぶ時、絶対に気をつけなけらばなりません。

 

幸福の形と不幸の形

「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」

トルストイ

かつてトルストイが、アンナ・カレーニナの冒頭でこう記したように、幸福の形はひとそれぞれですが、不幸は大体同じ形をしています。

人それぞれやりたい事は違いますし、幸福を感じる時も違います。

一方で、不幸や悩みの形は大抵似たようなものです。

高価で精巧な新幹線の模型を欲しいかどうかは人それぞれですが、満員電車に乗りたくないのは人類皆共通しています。

南の島で余生を過ごしたいのかは人それぞれですが、真夏の炎天下で人を待つのは誰しもが忌み嫌います。

自家用ジェット機を購入したいと思うかは人それぞれですが、エコノミークラスに13時間詰め込まれることを想像すると誰しもが憂鬱な気分になります。

やりたいことや幸せなことは人それぞれですが、やりたくない事は大抵同じなのです。

ビジネスに置き換えて考えてみましょう。

好きなものにお金を払う時、人それぞれ違います。

港区女子に大金を貢いでいる人に対しては、誰しもが共感するわけではありませんし、美容整形に何百万円もかけて生まれた新たな仮面を見た時、人々は必ずしも心の底から祝福するわけではありません。

一方で、嫌いなものや悩ましいものを避けるためにお金を払うことに対しては、人は概ね共感します。

真夏の熱帯夜に蚊に刺されるのが嫌だと蚊取り線香を買う人に対しては、誰しもが共感しますし、二日酔いになるのを防ぐためにウコンの力を飲む人を責め立てる人はいません(それが効くのかは別として)。

嫌いなものや、悩みに対する解決策にお金を払うことに対して、人は共感するのです。

事業を始める時、好きなものを事業にするのか、嫌いなもの悩みに対する解決策を事業にするのかの二つのアプローチがあります。

前者が失敗しがちなことはもうお分かりでしょう。

好きなこと、やりたいことは人それぞれ違うので、自分の事業でやりたいことをやろうとしても独りよがり、あるいは自己満足になりがちなのです。上手く市場のニーズと合致すれば良いのですが、大体は失敗します。

やりたいこと起点で事業を始めるとバイアスがかかりがちなことも落とし穴のひとつです。さらに、やりたいことをやっている人に対しては、周囲は止めずらいことも、より一層状況を悪くします。

あなたのやりたいことを市場が求めている保証などどこにもないのです。

やりたいこと起点の事業の落とし穴

ゴッホが生前、自分の絵がたった1枚しか売れなかったという逸話は有名です。これには諸説あり真偽のほどは不明ですが、いずれにせよゴッホが極貧のなか知人の宅に居候しつづけて生涯を閉じたことは間違えありません。当時、ゴッホの生前に彼の描きたい絵を欲しいと思う市場はなかったのです。

近年ですと、ブロックチェーンバブルがその象徴でした。数年前までブロックチェーン関連のベンチャー企業は「ブロックチェーンで世界を変える!」「ブロックチェーンで真の民主主義を!」といった大げさなキャッチフレーズを散々喧伝していました。中には「ブロックチェーンで地球をもう一個作ってみようじゃないか」と壮大なポエムを詠む事業者もいましたね。

(画像:キャリアハック)

バブルの熱に当てられた彼らの夢物語に対して、何とも言えない違和感を感じた人も多かったのではないでしょうか。

結果、すべて頓挫しました。市場がなかったからです。少なくとも、ブロックチェーンで地球をもうひとつ作りたいと切実に願う人など、あなたの周りには一人もいなかったはずです。

ここで一言付け加えておきたいのは、彼らの失敗を糾弾するつもりもなければ、やりたいことにチャレンジする人を馬鹿にするわけでもないということです。

ただ、やりたいことを起点に事業を始めることには、それ相応の覚悟が必要になります。

例えば、「君の名は」で世界的な大ヒットとなった新海誠氏の処女作「ほしのこえ」の公開年は2002年です。

新海氏は「君の名は」が大ヒットする2016年までのおよそ14年間、鳴かず飛ばずの不遇の時期を過ごしていたという事実を冷静に考えて欲しいのです。

新海誠氏のような才能と覚悟があるのなら、やりたいこと起点で事業を始めてみるのは良いでしょう。

しかし、改めて考え直してみてください。冒頭で述べたように、それは本当に「小川を超えて、木立を抜けて」といった朗らかな鼻歌が聞こえてくるような明るい道なのでしょうか?

「ゴッホのように一生下宿暮らしに甘んじる可能性が高くてもどうしてもやりたいことがある!」、「世界中の人が分かってくれなくても何年も耐え忍ぶ!」と固く決心できるひとは迷わず、自分の道を突き進んでください。

しかし、実際のところ、やりたいこと起点の事業が実を結ぶまでの道のりは果てしなく長い苦難の道であり、そのほとんどは何の生産性の影像も結ぶことなく、自己満足の中でついえます。人生のあらゆる要素を犠牲にしたとしても生存確率が極めて低い世界です。

少なくとも「周囲の言うように、なんとなく好きなことを仕事にしたい」といった生ぬるさで事業を始めてしまうと、地獄の道が待っています。

あなたが、より確実に経済的自由を得ることを目的としているのだとしたら、そのような手法は最善策からは程遠いものなのです。少しでも「ちょっと辛そうだな」と思うのならば、あえてその道を歩む必要はありません。

冒頭で述べたように、新しく事業を始めようとすると、大抵「それは本当にお前が人生をかけてやりたいことなの?」だとか「お前の心の声は何て言ってるんだ?」と無責任かつ恩着せがましく煽ってくる人が出てきます。

そういう人は、ただマウントを取りたいだけであって、あなたの事業に責任を持つわけでもなければ、恩義でやってるわけでもありません。

すくなくとも、あなたが生涯不遇の時を過ごしても責任は取ってくれません。彼らの軽薄で醜悪なマウントに自分の道を見誤らないでください。

そもそも、事業を立ち上げるときにやりたいこと起点でやらなければならない義務なんてどこにもないのです。もし、あなたがそうしなければいけないと思っているとしたら、それこそ社会洗脳です。どんなビジネスであれ、お金を払っている人がいる時点でその人の役にたっているわけであり、規模は小さくても社会貢献に変わりはありません。

やりたくないこと、悩ましいことに徹底して向き合う

もし、あなたがより確実に、より手堅く経済的自由を得ることを目的としているのならば、やりたくないこと、あるいは悩ましいことの解決策をビジネスにしましょう。

前述したように、あなたがやりたいことに対して、共感するかは人それぞれですが、やりたくないことに対しては共感が得られるのです。

日々、自分や誰かの悩みに対する解決策を考え抜くことで、手堅い事業の輪郭が見えてきます。

例えば、昨年話題となった退職代行Exitは「退職したいけど職場で気まずくなりたくない」という人の悩みにストレートに刺さるビジネスだと言えるでしょう。コロナが向かい風となっているかも知れませんが、人はそういった悩みを抱える人は、いつの時代も一定数以上いるので、底の堅いビジネスモデルだと言えます。

(退職代行Exit)

 

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あなたのやりたことが何となくぼんやりしている、あるいは自信がないといった人は、徹底的に悩みの解決にフォーカスしましょう。

多くの人は、自分がやりたいこと起点で事業を作り、市場を見誤り自爆します。「自分の事業は、誰の悩みを、どのようにして解決するのか」をひたすら自問し続けることであなたの事業の生存確率は大幅に上がります。

別にやりたいことを仕事にしなくても、あなたがやりたいことをやる時間は他にいくらでもあるのです。本当に事業としてやりたいことがあるにしても、それは経済的に余裕が出来てからでも全く遅くはありません。かつて、アブラハムが神の啓示を受けカナンへと旅立ったのは75歳の時のことです。何も焦る必要はありません。

むしろ、とりあえず経済的にラクになって、しっかりと準備が出来てからやりたいことをやるほうがむしろ自然だと考えることもできます。

繰り返しますが、やりたいこと起点で事業をすること自体が悪いわけでは決してありません。ただ、万人のための道だとは言えない「やりたいこと起点の事業」を強要する社会的圧力には、十分に注意してほしいのです。

徹底した顧客視点

最後に、1999年、まだ数あるベンチャー企業のうちのひとつでしかなかった頃のAmazon創業者ジェフ・べゾスのインタビューを紹介したいと思います。

彼はインターネットバブル期に、インターネットに対して懐疑的なCNBCの記者に対して、Amazonが徹底して顧客の悩みにフォーカスしていることを繰り返し強調しています。

Amazonが今も徹底して顧客の悩みに向き合っていることは広く知られています。

 

あなたの顧客はどのような人で、どのような悩みを抱えているのでしょうか?

そして、あなたの事業はその悩みをどのようにして解決するものなのでしょうか。

日々考え抜くことであなたのやるべきことが見えてくるかもしれません。

あなたの顧客の悩みは、おそらくあなたが共感できるものなのだから。

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